ロス長老インタビュー② 不安があってもやってみる 信じることは実践すること

➖➖ホームスクーリングをしたことが今宣教師として役に立ったと思いますか。

 

わたしは家に長くいた分だけ、勉強と一緒にたくさん母から学びました。彼女から楽観的になるように、また一生懸命働く姿勢を常に見せてもらったし、教えてもらいました。そして、生活のどんなことも神様に頼るように、つまり困った時や悩んでいる時に、祈って神様の期待されていることを尋ねてみたり、互いに助け合ったりする大切さを学びました。神様の言葉を読み、戒めに従って生きれば祝福されると教え続けられ、共に実践してきました。それらの教えは神様を信じるわたしの信仰を強くしてくれたので、神様の言葉を分かち合う宣教師になるうえでは非常に役に立ちました。おかげで、何かを信じるとういことは、単に信じて終わりではなくて、信じているものを実践することが大切だと学びました。そして信じて実践したものは、かならず自分の生活の全ての分野において大きく影響をするのだとよく理解ができました。

 

➖➖ロス長老は2年間宣教師として奉仕活動に出ていますが、宣教師は金銭的な準備が必要ですよね。どのようにして準備をしてこられたのですか。

 

宣教師として活動する期間は働けません。ですから活動の期間の費用は自分たちで前もって準備をして払わなければなりません。私は音楽が好きでピアノやトランペットやトランボンが弾けます。そしてギターも練習していました。音楽隊やジャズバンドなどにも参加しました。ですので、日本に住むための資金は子供にピアノレッスンをして貯めました。

 

 

➖➖ 宣教師になるためには、個人の生活を中断して決まったルールやスケジュールに沿って奉仕に励まなくてはなりません。自己犠牲の大きい勤めです。ロス長老は宣教師になると決めた時はまだ若い高校生の歳でしたよね?その きっかけとなったものはなんですか。宣教師になるまでの心境を分かち合ってください。

 

わたしの家族全員がモルモンの教会員です。昔、わたしの母側の祖父母と父側の祖父母が教会に改宗して以来みんな会員です。そして、わたしの父も若い頃宣教師としてキリストの教えを人々と分かち合ってきました。ですので、わたしの育った環境の流れでは、わたしも宣教師になる日が来るのだろうと感じていました。宣教師として人に仕えることが大切だということを知っていましたが、高校生になって実際に宣教師になる日が近づいた時は、怖くなりました。なぜなら、2年の間、家族や友達や好きなことから離れて、毎日、一日中人とふれあって教会の教えを分かち合い、必要な時に人を助けることが中心の生活ですから、不安になりました。両親を通して教会のことが大切だと学んでいましたし、教会の教えもないがしろにしたことがありません。宣教師になることは自分に良い経験になるということ、また、人のために働く、人にキリストの教えを分かち合うのは素晴らしいことであるとも知っていました。でも2年間も犠牲を払うことが自分にはできるかな、本当にしたいことかなと悩んだのです。

教会の宣教師として活動することを決めると、まず教会の本部に申請を出します。そして自分が精神的、体力的に準備ができているのかが確認されます。ですが、自分がどこで活動をするのかは決められません。悩んでいる上に、どこに行くのかも分からないし、そのための資金も貯めないといけないし、とても大変だと感じていました。でもある時、EFYという教会の若者のキャンプに一週間参加しました。教会の若者たちが集まり楽しい活動をします。共に聖典を読んだり、祈ったり、みんなと仲を深めたりする特別な期間を過ごしました。そこでグループを指導してくれたある大学生が、自分の宣教師時代の経験をいつも分かち合ってくれました。彼の素晴らしい経験をたくさん聞いているうちに、自分もそんな経験をしたいと強く心に感じました。わたしの中で初めて「奉仕するべき」という気持ちが「奉仕がしたい」に変わった瞬間でした。以前は宣教師になることに対して、それが大事だと知っていただけですが、この時はそれに対して良い気持ちを感じるようになりました。やるべきことに不安があっても、それに対して心の中で良い気持ちを感じるならば、それはやるべきものなのだと思います。だから、わたしも 宣教師になることを選べました。

 

➖➖2年間の奉仕活動が終わりますが、当時の気持ちと今とでは違いますか。

 

宣教師になる前の自分と今の自分は全く違います。 奉仕活動に携わることを不安に思っていたわたしは、今では逆にその活動ができることに毎日喜びを感じるようになりました。宣教師として旅立つ一週間前に教会に行きました。その教会で活動している宣教師たちに会いました。彼らの宣教師らしい姿を見て、わたしももう少しで仲間になるのだと思うと、興奮して彼らに握手したのを今でも覚えています。それはそれで良かったのですが、それに比べたら今感じる喜びの種類は外見的なものではなく、より深い良いものです。人に仕えること、神様の教えを分かち合うことこそに喜びを感じるようになりました。本当の意味で人を助ける大切さをこの2年で学びました。

 

➖➖最後に日本に来て宣教師になった感想をお願いします。

 

宣教師として最初は不安だらけのわたしでしたが、実は心の中では「日本へ行ってみたいな〜」と思っていました。その願いが叶ってとても嬉しいです。多少不安があっても、やるべきだと感じたことに従って本当によかったです。神様への自分の信仰も強まりました。たくさんの素晴らしい人にも出会って、たくさんの良い経験をしました。日本に来ていない自分を今では想像することすらできません。最高の決断でした。

わたしたち宣教師は毎日祈り、聖典を通して神様の言葉を勉強し、人に仕えることを生活の中心にしています。どうやったらもっと人の役に立てるのかを常に考えて計画をしています。そして個人の成長を目指し、良い人になれるように努めています。宣教師としての期間を終えた後も、良い人になれるよう頑張りたいし、信じていることを生活の中心にしたいです。

 

インタビューの数日後に、アメリカに帰国するロス長老をお迎えに、彼の両親と兄弟たちが全員日本に来ていました。彼の話していたお母さんにお会いし、お話しをする機会がありました。子どもの生活に朝から晩まで付き合う彼女は疲れ切ったお母さんでは?というイメージがありましたが、実際は全く逆でした。教育としつけの多くを学校に任せてしまいがちな世の中にあって、元気で、信仰心の強い、そして愛の強いお母さんであり、教育者としての務めに生きがいと幸せを感じている素敵な女性でした。

自分の音楽の才能を活かして準備をし、思いっきり奉仕活動への冒険に挑んだロス長老。その頑張る姿の裏には、家庭で受けてきた家族からの愛と、母から受けていた熱心な教育があり、それが宣教師としてのパワーのベースになっていたようです。ホームスクーリングを通して、ポジティブさとやるべきことをしっかりこなすことを学んできたロス長老は責任感にあふれた実践派の宣教師として活躍しました。

自分の信じていることを実際に人に分かち合うって結構勇気のいるものですが、国を離れて自分の2年間を捧げてくれた長老の自己犠牲と積極的さによって、多くの人を笑顔にしたことでしょう。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

アーカイブ

ピックアップ記事

  1. 2017-9-1

    対談 Orangestar × M.B 通算1,500万回再生の音楽動画クリエイターがヒットの裏側を語る①

    動画再生回数1,500万回以上「未完成エイトビーツ」のボカロP:Orangestarと,タッグを組ん…
  2. 2017-7-26

    ロス長老インタビュー① 自立の精神を養ったホームスクーリング

    今回の宣教師インタビューはアメリカのワシトン州シアトル市から来た、ジャック・W・ロス長老です。 日…
  3. 2017-7-20

    信子母さんのエッセイ第10回「健康は試練」

    クリスチャンになって驚いたことのひとつは、「試練」についての概念でした。 当時学生だったわたし…
  4. 2017-6-1

    信子母さんのエッセイ第6回「おかげ、おかげて思わなんよ」

       わかってるよ、と言いたくなるくらい 母から繰り返し言われてきたことの一つに 「おかげ、おか…
  5. 2017-4-13

    信子母さんのエッセイ第2回「証(あかし)って なあに?」

    第2回 「証(あかし)って なあに?」 長男がまだ小さかった頃のこと。 「おかあさん、あかし…

編集部ピックアップ記事

  1. 2017-10-30

    國司姉妹インタビュー 誰かのために良い人になりたい①

    今回のインタビューは、現在関東・北陸地区で宣教師として活動をしている國司真由美(くにしまゆみ)姉妹で…
  2. 2017-11-10

    信子母さんのエッセイ第26回「伸びやかに」

    4歳になったばかりのたっくんと、2歳半の花ちゃんはいとこ同士。 先日 我が家に遊びに来てくれて…
  3. 2017-9-27

    家系図探求ソフト『ファミリーサーチ』が朝日新聞Globeで紹介される

    家族の歴史、家系図に興味をお持ちの方にお知らせ。 モルモン教会の家系図探求ソフト『ファミリーサーチ…
  4. 2017-7-26

    ロス長老インタビュー① 自立の精神を養ったホームスクーリング

    今回の宣教師インタビューはアメリカのワシトン州シアトル市から来た、ジャック・W・ロス長老です。 日…
  5. 2017-7-10

    信子母さんのエッセイ第9回「工夫」

    随分前に見たテレビドラマの中で、戦時中に使われていた標語が出てきました。 …
  6. 2017-7-20

    信子母さんのエッセイ第10回「健康は試練」

    クリスチャンになって驚いたことのひとつは、「試練」についての概念でした。 当時学生だったわたし…
  7. 2017-6-28

    信子母さんのエッセイ第8回 機嫌のいいマルタ

    バイトから帰るなり「行って来まーす」と慌ただしく出て行く三女・種恵(しゅえ)。 毎週金曜の夜は、イ…
ページ上部へ戻る