
第46回「を」の使い方
大丈夫!
焦らなくてもいいんだ。
急がなくてもいいんだ。
気長に待てばいいんだ。
と、学んだ出来事があります。
我が家の7番目の子ども、六男・大我が、小学1年生の時のことです。
何度教えても、「お」と「を」。「え」と「へ」。「わ」と「は」の使い分けができない息子に、わたしは苛立っていました。
そんなときに大我からもらった手紙はわたしに、(当時わたしが気にしていたことなんて)ちっぽけなことなのかもしれないな… と、強く思わせてくれました。
10年以上前の日記ですが、紹介させてください。(^ν^)
↓↓↓
終わったばかりの大我の宿題を見て、私は少なからず失望しました。
○ の中に、どちらかただしいものをいれましょう。
どうぶつえん○いく
(え・へ)
ぞう○おおきい
(わ・は)
きりんのくび○ながい
(わ・は)
おべんとう○たべる
(お・を)
といった問題を、なんと全問題間違えているのです。
(を)と(お)、(は)と(わ)、(へ)と(え)の使い分けが、今ひとつ理解できていないようです。
「ねぇ、たいちゃん。これ、間違ってるよ」
「えっ?どこが?」
「よく見てごらん。どこが違うかな?」
「うーん・・・わかんない。でも、じはきれいでしょ?」
「うん。字はとっても上手になったけどね」
上の子どもたちにとってはなんでもなかったことなのに、大我にとっては理解しがたいことらしく、何度教えても間違えてしまいます。なんでたいちゃんわからないのかなあ・・・
もう一度教えながら、情けないような、腹立たしいような気持が広がります。ふぅっ・・・・
部屋に戻ると、私の机の上に、大我からの手紙が置いてありました。どの子もよく手紙をくれるのですが、小学一年生の大我は、最近、特に頻繁に書いてくれます。
1枚目。『ぷれぜんとおあげるよ。ぷれぜんとわえだよ』
もうっ!また、”お”と”わ”を間違えてる。
2枚目。 『あかあさんだいすきよ』
その下に、にこにこ顔の私の絵が描いてあります。
・・・泣きたくなるような明るい絵です。
・・・”を”と”お”、”は”と”わ”、”へ”と”え”の間違いなんて、ちっちゃなことかもね、と思えてくるくらいに。
それから2か月ほど過ぎた今日、私の机の上に広げてあるその時の手紙を見て、大我が言いました。
「たいちゃんのてがみ、どうするの?」
「お母さんの作文に、たいちゃんの手紙のことを書こうかなあって思って見てたの」
「でも、これ、じがまちがってるよ」
「え?」
「ほら、ここ。”お”と”わ”」
「たいちゃん、わかるんだ!」
「そりゃあ、わかるよ!」
「でも、1学期にこれを書いた時はわからなかったのに」
「うん。その時は、まだちいさかったからね」
・・・なるほど!まだ小さかったからか!そうだね!たいちゃんは、大きくなったんだね!
愉快な気分でうなずいていると、大我が言いました。
「きょうのしゅくだいは、うただよ!」
「うた?」
「うん。うんどうかいのまえに、こうかをおぼえないといけないの」
「校歌?」
「うん。じゃ、うたうね!」
「はい、お願いします」
「とぉいー やぁまー きわらのそらは あさやけだぁー ♪」
・・・心が晴れわたっていくような清らかな歌声です。
・・・”を”と”お”、”は”と”わ”、”へ”と”え”の間違いなんて、
ほんとにちっちゃなことなんだよね、と思えるくらいに。
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