
第44回「ろんぱ」
つい先日、息子三人が話しているのを何気なく見ていたら、そのうちの一人が「はい!ろんぱー!」と言って会話を終了させていました。
ろんぱー?
???
ロンドンハーツ?
?????
ああ!
わかった!
ろんぱ。
論破ね!
言い負かしたってことか。
なーるほど!
笑っちゃいました。
この言葉、若者に流行ってるんでしょうか?
相手を言い負かす ということに関して、わたしには忘れられない思い出があります。
長男と次男がまだ中学生で 反抗期真っ最中の頃でした。
その日わたしは長男との口喧嘩に勝利をおさめ、満足して寝ようとしていました。
すると、夫が声をかけてきたのです。
「気を悪くしないで聞いてね」と。
珍しいな、なんだろう?
わたしは、夫の言葉を待ちました。
「のぶちゃんは、口が達者というか、喋るのが上手いから、時々子どもたちを言い負かしてしまう癖があると思うんだよ」
えっ?
さっきわたしが息子に言ったこと、間違ってた?と尋ねると、夫は答えて言いました。
「いや、間違ってないよ。のぶちゃんの方が正しいのはわかってるんだ。でも、あんまり言い負かさない方がいいんじゃないかな?」
え?
「言い負かされてしまうとね、頭ではお母さんの方が正しいとわかってても、押さえつけられたような気分になって、納得するんじゃなくて不満ばっかり残るような気がするんだよね」
…
夫がその後に言った言葉を わたしは忘れません。
「時々は負けてやったら? 」
…
… 負けてやる?…
思いもしなかった言葉に戸惑っているわたしに、夫は優しく続けました。
「子どもたちが間違ってても、ああ そうね、って言ってやったらいいんじゃない?無理に分からせようとしないで。そしたら、お母さんは自分のことをわかってくれるって気持ちが もっと強くなると思うんだよね」 と。
……
当時のわたしは、子どもとの言い争いでは連戦連勝。負けたことがありません。
でも、夫の言葉は、そんなわたしの勝利を、簡単に打ち砕きました。
…
どっちが正しいかなんて、ほんとはどうでもいいのかもしれないな…
子どもたちにとって、もっと ずっと大切なのは、受け入れられているという実感。親からの信頼…
そうだね!
ほんとにそうだよね!
……
心からそう思ったので、
その時わたしは決めたのです。
論破はしない!と。
…
それから十数年。
ずっと気をつけてはいるのだけれど、
今でも たまに、大人気なくムキになって 言い負かしてやりたくなることがあります。
だって、
上の子が大人になっても、次々に下の子たちが生意気な反抗期に突入していくんですもの。
(๑>◡<๑)💦笑
大家族のお母さん。
まだまだ頑張らないとね!
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