
第95回「わたしはお母さん」
「ねえ、おばちゃん」
と、小さな女の子に声をかけられたのは、不動が幼稚園に通っていた頃でした。
「ふどうくんには、おかあさんがいないの?」
女の子の言葉に、わたしは明るく「いるよ 」と答えました。
すると女の子は「どこに?」と聞き返してきました。
「ここに 」と笑顔で自分を指差しながら答えた瞬間、ハッと気づいたのです。
あっ。この子は、わたしをおばあちゃんと思ってるんだ、と。
なるほど。
そういうことか。(๑>◡<๑)
20代、30代の若いお母さんたちに混じって、当時わたしは51歳。クラスの中で最年長の保護者でした。
女の子の目には、お母さんではなくおばあちゃんが毎日送り迎えをしているように見えていたのでしょう。
46歳で不動を出産したわたしの、これが現実なんだ。… その時感じた気持ちを、わたしは今でも覚えています。
その日わたしは考えました。
どうあがいたところで、51歳は51歳。最年長は最年長。この現実は変えられない。だったら、わたしに何が出来る?
… この年齢を生きるしかない。この年齢で輝くしかない。
その時の日記に、わたしはこう綴っています。
『自分に関心を持って、自分を大切にして、自分を磨く。下を向かずに前を向いて、いきいきと笑っている。そして、いくつになっても、好奇心や感動やみずみずしさを失わず、輝いていられたら――魅力的な女性になれるかな』
そして、こんなふうに続けていました。
『もしふうちゃんの友だちに、また、「おばあちゃん?」と聞かれたら、にっこり笑ってこう言おう。
「違うよ。わたしはふうちゃんのお母さんなの。あなたのお母さんよりずっと年上だから、おばあちゃんみたいに見えるかもしれないけど、お母さんなの。年を取ったおばちゃんのとこにふうちゃんが生まれてきてくれたから、おばちゃんはうれしくてたまらないんだ」と 』
その時の気持ちを、わたしはずっと持ち続けています。
だから、中学生になった不動から、「えっ!58歳?!友達には黙っとこう」と言われても、高校生になった不動から、「えっ!61歳?!ほんとのおばあさんじゃん」と言われても、一瞬凹むけど(笑)めげないのです。
46歳で不動を産んだことを後悔したことなんて 一度もないもの。
孫たちにとって、わたしは文字通りおばあちゃん。
でも、何年経ってもいくつになっても、わたしは子どもたちのお母さん。
誇りに思ってもらえるような素敵なお母さんを目指して、これからも精進するぞっ!
鏡の中の64歳の顔を見ながら、わたしはそう決意しています。
(๑・̑◡・̑๑)
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