信子母さんのエッセイ第87回「空の深さ」

第87回「空の深さ」

「井の中の蛙」という言葉は、あまり良い意味では使われません。

「井の中の蛙大海を知らず」
小さな井戸の中にいるカエルは、外にある広い世界のことを知らない。
言いかえれば、世間知らずで視野が狭いという意味だからです。

この言葉に続きがあると知ったのは、わたしが大人になってからでした。

「井の中の蛙大海を知らず されど空の深さ(青さ)を知る」

後半の部分は後で誰かが付け足したもの、と言われているようですが、この続きが わたしはとても好きです。

狭い井戸の中でも、空を見上げてその美しさを楽しみながら、一生懸命そこで生きているカエルの姿が浮かんでくるからです。
「置かれた場所で咲きなさい」という言葉にも通じるものがあるような気がします。

「井の中の蛙大海を知らず」だけだと、狭い世界で高慢になり威張っている人の姿しかイメージできませんが、「されど空の深さを知る」と続くことで、そのイメージが、感謝の心を持ち合わせている人、謙遜で真面目な人、その人にしか見えないものを見つけた人、何かを極める人の姿へ変わるから不思議です。

言葉の持つ力に驚きます。
そして思うのです。
こういう見方ができたらいいな、と。

夫に対しても、子どもたちに対しても、母に対しても、友達や他の人たちに対しても、一面からだけ見るのではなく、違う角度で、広い視野で、何より あたたかい眼差しで… 。

春の優しい日差しの中、薄紫の藤の花と、その後ろに広がる青空を見上げながら、そんなことを考えています。

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