信子母さんのエッセイ第86回「ぎゅうぎゅうの幸せ」

第86回「ぎゅうぎゅうの幸せ」

娘の結婚式の2日後、教会での披露宴を前にした朝のことです。
みんなが揃うことは滅多にないから、と、近くの公園で家族写真を撮ることになりました。

時間の余裕はありません。
どうやって撮る?じゃ、家族一列で!
はい、並んで!!と、せわしく撮影していた最中、娘が「”ぎゅうぎゅうのしあわせ”で撮ろうよ!」と言い出しました。

“ぎゅうぎゅうのしあわせ”というのは、わたしが18年前に書いた詩で、最初に出版していただいた本『子育てって楽しいよ!』の見開きに載っているものです。

「ねぇ!そこ、も少し詰めてよぉ!」
「ほら、そっちも、詰めて、詰めて!」

という言葉で始まるその詩は、当時夫婦と六男三女で、ぎゅうぎゅうに暮らしていた様子を書いたものでした。

娘はその詩を、本を通してよく知っていたので、”ぎゅうぎゅうのしあわせ”で撮ろう!と提案してくれたのです。

さて、どう撮る?

子どもたちの提案で、公園の滑り台にみんなで乗ろうということになりました。
子どもたちの伴侶や孫たちも一緒です。
「ちょっとどいて!」
「ほら、そこ、もう少し詰めて!」
「詰めて!詰めて!」

正に、詩のとおりの会話が飛び交い、みんなが笑っています。
ふふ。なんかいいな… 💕

「詰めて、詰めて!ぎゅっと詰めてー!」
「もっと寄って!」
「はい、撮るよー!」

そうして撮った写真が今回の写真です。

ぎゅうぎゅうで狭いのに、ぎゅうぎゅうでうるさいのに、一人がいないとスカスカに感じる… そんな子育ての日々を ふと思い出しました。

昔の詩ですが、紹介させてください。^ ^

🌸ぎゅうぎゅうのしあわせ🌸

「ねぇ!そこ、も少し詰めてよぉ!」
「ほら、そっちも、詰めて、詰めて!」

車に乗る時も
食卓を囲む時も
部屋でテレビを見る時も
太めの夫婦と子どもが9人
押し合いへしあいの ぎゅうぎゅう詰め
肩がぶつかり
足が重なり
けんかにだってなるけれど
たまに一人がいなくなると
決まって みんなが口にする

「あれ?ひでくんは?」
「ひでくんはどこ?」
「ねぇ、ひでくんはどうしたの?」

「英智は学校の合宿よ」

「そうか!」
「そうそう!」
「そうだったねぇ…」

一人がいなくなるだけで
一つの席が空いただけで
なんだか家族がスカスカだ

ぎゅうぎゅうは きゅうくつだけど
でも、ぎゅうぎゅうは あたたかい
このぎゅうぎゅうのしあわせが
うちの家族のしあわせなんだ

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