信子母さんのエッセイ第120回「遺影」

第120回「遺影」

これは、5年前の写真。
1人で写っている写真が必要になり、ケータイで息子に撮ってもらったのですが、この時のことはよく覚えています。

自然な感じに撮れて気に入ったので、わたしは、ありがとう!いいね!これ、わたしの遺影にしよう!と言いました。

すると、即座に息子が口を開きました。
「お母さん、死にそうな気がするの?」

え?と聞き返すと、息子は「もうすぐ死にそうな気がするの?」とまた尋ねます。
え?なんで?と、また聞き返すと、息子は「だから、もうすぐ死ぬような気がするのか聞いてんの!」と怒ったような口調で言いました。

え?してませんけど、と答えると、息子はぶっきらぼうに「なら いい!」と言い残して部屋を出て行きました。

わたしはフッとおかしくなりました。
男の子と女の子は違うなぁ。
娘たちだったら間違いなく「うん、この写真をのぶちゃんの遺影にしよう〜♪」と、軽いノリで笑ってくれるのに。^ ^

“遺影”という言葉のインパクトが、当時高校生だった息子には強すぎたのかもしれません。

でも、若くないわたしは、遺影について時々考えます。
27年前に父が亡くなった時、父の遺影はわたしが選びました。
選んだのは、亡くなる直前の写真ではなく、亡くなる数年前、わたしの結婚式の日の写真。喜んでくれている父の穏やかな笑顔が大好きだったからです。

わたしはどんな顔を残したいか、子どもたちに、わたしのどんな顔を覚えておいて欲しいか…  そう考える時、やっぱり笑顔の写真を残したいなあ、と思います。
そして、残したいものについて考えていると、そのためにどんな生き方をするべきか、少し見えてくるような気がするのです。
….

65歳。
しっかり生きよう。

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