信子母ちゃんのエッセイ第111回「がんばり賞」

第111回「がんばり賞」

子どもたちがまだ小学生だった頃のことです。

学期末の終業式の日になると、子どもたちは「おばあちゃーん!」と通知表を持って、真っ先に母のところへ走って行きました。

母は、通知表を見ながら目を細め「ばあ!どうかこら よう頑張ったねぇ!がんばり賞ばやらなん!(まあ!どうでしょう!よく頑張ったねぇ!がんばり賞をあげなくちゃ!)」と、大げさに褒めてから、少しのお小遣いをくれるのです。

我が家では、試験の成績その他が良いからといってそれでご褒美をあげる習慣はなかったのですが、母と同居するようになってからは、その係を母が担ってくれるようになりました。

「信子ちゃん、みんなに褒美ば やってよかね?(信子ちゃん、みんなに褒美をあげていい?)」と許可を求めてくれた母に、ありがとう!じゃ、ちょっとだけね、とお願いし、以来、運動会で頑張ったり、音楽会で活躍したり、何かで賞状をもらったりするたびに、子どもたちがわたしからもらえるのはハグと賞賛の言葉。おばあちゃんからもらえるのは笑顔とお小遣い。というルールが定着したのです。

振り返れば笑えるくらい、子どもたちは何かにつけて自分の頑張りを、母にアピールしていましたっけ。

おばあちゃん、あいさつをがんばったよ!

おばあちゃん、発表会の司会をしたよ!

おばあちゃん、おそうじをがんばったよ!

おばあちゃん、指揮をしたよ!

おばあちゃん! おばあちゃん!おばあちゃん!…

その度に母は、満面の笑顔で “がんばり賞” を手渡してくれるのです。

時が流れ、大きくなった息子たちが 、おばあちゃんから貰っていた “がんばり賞” のことを懐かしそうに話していたので、そのことを母に伝え、合わせて 最近の息子たちの頑張りを 報告してみました。

「あら、んなら、久しぶりに がんばり賞ば、やろかいね?(あら、それなら、久しぶりに がんばり賞をあげようかね?)」と母。

ご馳走してくれるという言葉に甘えて、息子たちと一緒にデパートへ行ってきました。

入口のすぐ近くを探して駐車し、開いたドアを手で支え、ゆっくり歩く母に歩調を合わせ、段差では手を添え、荷物を持ち、エスカレーターでは母の前後に立ち… と、常にさり気ない気遣いを示す息子たちが いい感じです。 

( ◠‿◠ )💕

母のチョイスは、ファミリーレストランより少々お高いレストラン。

「おばあちゃん、美味しいよ!」

「おばあちゃん、これ最高!」

「おばあちゃん、ありがとう!」

口々に言う息子たちに、母は昔と同じ満面の笑顔で答えます。

「頑張らなんばい。またおばあちゃんが がんばり賞ばやるけんね!(頑張るのよ。またおばあちゃんが、がんばり賞をあげるからね!)」

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