信子母さんのエッセイ第103回「お母さんにできること」

第103回「お母さんにできること」

 

 

「のぶちゃんちの子どもたちは、小さい頃いじめられたりとか なかった? 」

「上の子たちは、引っ越しした時、転校先の小学校で、少し経験したかなぁ。そんなにひどいものではなかったけどね」

 

「どんないじめ?」

「英智はね、ちょっとパンチされたり、自転車に針金を巻かれたりしたかな」

 

「のぶちゃん、そのときどうしたの?」

「いつでも引っ越しするから大丈夫だよ!って言った」

 

「引っ越し?」

「うん。ひでくんが大変な時は引っしする!家族みーんなで引っ越しするから大丈夫だよって。そしたら、ほんと?って聞くから、うん、ほんと!って言ったら安心したみたい。その頃はわたしも若かったから、うちの大切な息子をいじめるなら、こんな町出て行けばいい!と、思ってたの(笑)」

 

「てんちゃんは?」

「天童はね、宿題のプリントをしわくちゃにされたよ」

 

「プリントを?」

「一番前の席の子から順に後ろの子にプリントを回すでしょ。そのとき天童の前の席の子が、くしゃっと丸めて渡すらしいの」

 

「ひどいね。のぶちゃんはどうしたの?」

「しわくちゃにされたプリントにアイロンをかけて、はい!いっちょあがりー!と渡したら、天童が笑顔で受け取ったんだよね。で、いつでもアイロンかけるから任せといて!って言ったら、それからプリントをくしゃくしゃにされるたびに、おかあさん、はい、アイロン!と手渡してくれるようになったの。わたしは、チョチョイとアイロンをかけて、はい、オッケー !と返すのよね。しばらくそれをくり返してるうちに、前の席の子、もう飽きたのか、プリントを丸めなくなった」

 

「そうなんだ」

「あ、そうそう。一度、制服のシャツを ハサミで切られて帰ってきたこともあったわ」

 

「え?ハサミで?!」

「うん。さすがにちょっと驚いたんだけど、子どものいたずらだろうから、ま、いっか!と受け流しておくことにしたの。でも、先生が気づいて、その子のお母さんに知らせてくださったらしく、後日、お母さんがお菓子を持ってお詫びに来られたんだよね。その晩みんなで いただいたお菓子を食べてたら、突然天童が、おかあさん!おかしもらって、ラッキーだったねー!と嬉しそうに言うもんだから、笑っちゃった。そのうち意地悪はすっかりなくなったの」

 

「麗花ちゃんにもあった?」

「キリッとした目をからかわれたみたいで、キツネって言われた、って帰ってきたなぁ」

 

「そのときはどうしたの?」

「えええっ!と大げさに驚いてみせて、麗花を鏡の前に立たせて、聞いたんだよね、狐に見える?って。見えない、と答えた麗花に、また大げさに言ったの。でしょ! こんなに可愛い子が狐に見えるなんて、そりゃ大変だ! その子、きっと目が悪いんだよ!これからも何度も言うなら、お母さんがその子を目の病院へ連れて行ってあげるよ!ってね。にっこりした麗花をぎゅううっっと抱きしめて、それでおしまい」

 

「大家族をからかわれたりすることはなかった?」

「あったあった!少し学年が上がると、特に男の子たちは興味が湧くのか、兄弟が多いことをネタにするんだよね。その頃は子どもが5人だったから、おまえんちの親は、5回セックスしたんだろ!とかね」

 

「わあ…  そのときはどうしたの?」

「わかってないなあ、5回じゃないよ!何百回もだよ!お父さんが大好きだからね!それは、とっても素晴らしいことなんだよ!って言っておいた(笑)」

 

「すごいなあ!わたしにはとてもできない💦」

「いやいや。深刻さの度合いはそれぞれ異なるし、子どもたちの性格も一人一人違うし、うちのやり方が誰にでも当てはまるわけじゃないと思う。でも、うちに限って言えば、親があまり気に病まないでいたことが、結果として良かったみたい。いつでも休んでいい。いざとなったら引越しだ!と宣言しておいたこともね」

 

「他の子達はどうだったの? 下の子たちは?」

「上の子たちが大きくなるにつれて、下の子たちの支えになっていったと思うんだよね。少々嫌なことがあっても、自分にはお兄ちゃんがついてる!お姉ちゃんがついてる!家族みんながついてる!!という安心感が、下の子たちにはいつもあったんじゃないかな。大家族の強みかもね」

 

「いいね、支え合えて! わたしは子どもをちゃんと守れる自信ないなあ…」

「わたしも若い頃はそうだったよ。 嫌なニュースを見るたびに、こんな世界で、子どもたちを いったいどこまで守れるだろう?って、自分がものすごく小さくて無力に思えること、いっぱいあったもん。でもね、ずっと心に刻みつけていたことがあるんだよね」

 

「なに?」

「家庭を小さな 天国に、という言葉」

 

「家庭を小さな天国に?」

「うん。教会で教わったの。たとえ世の中に悪の嵐が吹き荒れていても、家庭という囲いの中を 小さな天国にすることはできる。それがお母さんにできることだ、って」

 

「いい言葉だね」

「うん。 どんな時でも見捨てない。愛して信じて、笑って応援する。そんなお母さんになれたらいいな、って、ずっとそう思ってきたの。… 今もね 」

💖٩(๑❛ᴗ❛๑)۶  ٩(๑ᴖ◡ᴖ๑)۶💖

関連記事

URL NOT FOUND
URL NOT FOUND

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

編集部ピックアップ記事

  1. 2018-2-1

    宣教師って何をしているの?―ロケットさんインタビュー① 

  2. 2018-4-9

    Mormon Mama: アメリカの味!簡単ミートボール

  3. 2019-1-5

    信子母さんのエッセイ第76回「いつも初心者」

  4. 2017-10-6

    信子母さんのエッセイ第22回「ナンバーワン」

  5. 2018-1-12

    信子母さんのエッセイ第32回「まさか」

  6. 2019-2-9

    信子母さんのエッセイ第80回「見上げても見上げなくても」

  7. 2017-8-11

    信子母さんのエッセイ第14回「すべてはよし」

ページ上部へ戻る