
今回のインタビューは、現在関東地区で宣教師として活動しているエデン・カウアオカヴァヒ・テオさん(22歳)です。ハワイ州のライエ出身のテオさん。カウアオカヴァヒというミドルネームは霧という意味だそうです。両親、兄(26)、姉(25)姉(23)、妹(16)、弟(11)の8人家族です。
テオさんは、いつも笑顔で、一緒にいる人が幸せを感じることができます。また彼女はご自身のご家族をとても大切に思っていらっしゃいます。彼女の幸せそうな姿とご家族の存在にどのような関係性があるのか伺いました。
テオさんはいつも幸せそうですが、何か秘訣がありますか?
素晴らしい家族がいるからですかね。わたしは家族が大好きです。
9人家族で、わたしは5番目の子供です。1つ年上の姉には双子の兄がいましたが、生後8か月の時に亡くなりました。
家族は特別な存在です。お互いに学び合い、一人一人が家族のために大切な役割を担っていると感じています。両親は年上の子供に、妹や弟の面倒を見るように何度も教えました。わたしも兄と姉たちから大切にされ、面倒をみてもらったので、彼らが大学への進学や宣教師の奉仕活動のためにアメリカ本土へ引っ越した後、今度はわたしが妹と弟の面倒を見ました。妹・弟と関わる中で、彼らを愛おしいと思う気持ちが強くなり、愛することを学びました。兄と姉たちからは人に関心を持つこと、そして両親からは自分は家族に欠かせない存在であると教えてもらいました。
家族との思い出を教えてください。
クリスマスです。幼い時から毎年クリスマスは父方の親戚一同が集まって我が家でパーティーをしました。父が中心となって、たくさんのごちそうやデザートを用意しました。祖母からのごちそうはカニでした!親戚たちもそれぞれ食べ物を持ち寄ってとても賑やかなパーティーでした。20人以上のハワイ人が集まりました。
大きなパーティーですね。片づけが大変だったのではないですか?
そうですね。片づけはあまり好きじゃなかったです(笑)。ですが、家族みんなで片づけをしました。幼い頃は父に教えてもらいながら、やり方を学びました。子供たちが大きくなってくると、みんな自然と片づけを始めて掃除をやるようになりました。毎日の生活でもそうです。例えば夕食後、誰かが食器を洗いはじめ、他の誰かがテーブルを拭き、手の空いてる人が床を掃除しました。今では、母が家事をしているときは、みんなも進んで家事をします。あたりまえのことになっているのは、子供達も家族の一員であること、みんなで助け合うことをいつも父が教えてくれたからだと思います。しつけや家事など、必要な時は厳しく教えられたこともあります。母は父がわたしたちに言ったことをやさしくサポートしてくれました。両親が時間をかけて子供達に教えてくれたおかげです。
ご家族とても仲がいいんですね。
そうですね。本当に大好きです。大好きなんですが、高校卒業後、わたしは家を出たいと思ったことがあります。外の世界を観たくなり、自分のことだけをしたくなりました。ですが、兄と姉たちが高校卒業後、家を出て本土の大学へ進学したので、同じことがしたかっただけというのもありますが。
わたしも1年間本土の大学へ行きました。多くの友達ができ、一緒に食事やドライブに行き、最初は毎日とても楽しかったです。
ですが、大学1年のクリスマスの時に分かったことがあります。家族の存在です。
その年のクリスマスは、サンディエゴに住んでいた兄の家に家族みんなが集まることになりました。わたしは一足先に兄の家に着き、彼の家族と一緒に3日間過ごしました。大学生活以上に充実していて楽しかったことを覚えています。この時、わたしにとって家族が何にも代えられない、かけがえのない存在であると心から実感しました。そして、これまで家族がわたしにしてきてくれたことすべてに感謝の気持ちが湧いてきました。
テオさんが宣教師として活動したいと決意した時、家族はそれをどのように助けてくれましたか?
両親も兄も姉も宣教師になることを勧めてきたことはありません。これはわたしが決めることだったからです。実は、宣教師になりたくないと思っていました。その思いが変わったことには、1つ年上の姉の影響が大きかったです。幼い時からクリスマスには同じプレゼントをもらうくらい、姉とは仲が良かったです。
姉とさらに仲良く、まるで親友のようになったのが、高校時代です。
わたしたち家族は、オアフ島の北側にあるライエという町に住んでいます。通っていた高校は南側のホノルルにありましたので、毎日自宅から2時間ほどかけて通いました。この長い通学のために、近所の友達と遊ぶ時間はほとんどありませんでしたから、一緒に通学していた姉が大切な友達のような存在にもなりました。彼女とは本当にいつも一緒でした。
姉はいつも幸せそうで、自分に自信があり、意思をはっきりと示す人でした。人の目を気にせず、どんな人も信頼していました。教会の教えに対して確信を持っていました。逆にわたしは、周りと同じでなければ不安を感じて、教会の教えにも確信がなく、自信がありませんでした。ですからわたしはそんな姉の姿に憧れていました。
そのお姉さんも宣教師ですか?
彼女は2年前にアメリカ本土での奉仕活動を終えハワイに帰ってきました。帰還した彼女はそれまで以上にかっこよく見えました。姉への憧れが彼女のようになりたいという思いに変わり、どうしたら彼女のようになれるか考えるようになりました。
ある夜、姉と一緒に教会の成人向けの聖書学習クラスに参加しました。それまでのわたしは教会に対してあまり積極的ではありませんでしたが、自分も変わりたいと思いながら出席したせいか、特別な時間になったことを覚えています。
その日は、聖書からいつか神様に会う機会があるということを学びました。教師がわたしの視点を変える質問をしました。
「あなたはなぜここにいますか?人生を終えて神さまにお会いした時、あなたは自分の人生のどんなことを話しますか?」
わたしは、「神さまにお話できるようなことないかも!!」と思いました。家に帰った後、学んだことや教師の質問について姉とたくさん話しました。彼女と一緒に話した時間は、わたしが教会や教会の教えについて向き合う時間になりました。
姉は、教会の教えに対する強い確信と、自分が大切な存在であるということを教えてくれました。また、いつも神様の助けを感じていること、神様や家族、周りの人を愛することで自分も幸せを感じられると話してくれました。
姉と話すことで彼女の幸せそうな姿の理由もだんだん分かり、わたしも同じようになれるんだ!と思いました。人生や物事に対して見方が変わりました。姉との時間が宣教師になる決意の後押しとなりました。
現在ご家族から離れて日本にいますが、ご家族とはどのように連絡を取っていますか?
毎週Eメールでやり取りしています。母の日とクリスマスはスカイプで話をしました。
日本に来てから特に、家族の絆とサポートと愛を強く感じています。どんなに離れていても、問題が起きても、家族であることは決して変わりません。家族の絆は簡単に壊れないです。
日本で宣教師として活動する中で、どのようなことを感じていらっしゃいますか?
多くの助けを感じます。実はわたしはシャイで、日本語に限らず英語でも知らない人と話すとき、緊張します。ですが、みなさん一生懸命聞いてくれます。その優しさがとっても嬉しいです。
他には日本語の習得です。日本に来たばかりの頃は日本語がほとんど分かりませんでした。半年を過ぎてから、すべてではないですが、日本語が分かるようになりました。前の同僚は日本人でしたが、今の同僚は来日したばかりのアメリカ人です。このままでは二人とも日本語が分からなくなるかもしれないと心配しましたが、今のところそこまで困ったことはありません。専門的な話になると、やはり単語が分かりませんが、音を聞き取れるようになったので、辞書で意味を調べることができます。そんなことができるようになった自分にとても驚いています。
また、神さまからの愛を感じます。毎日何かしら悩んだり心配事があります。そんな中聖書を読んだり、同僚と一緒に聖書の教えを話し合うと、少しずつですが、神様の助けを感じます。以前に伝道部会長がわたしたち宣教師に対して言った言葉に励まされました。「みなさんは周りから見るとちょっと違います。みなさんの多くは外国人で、つたない日本語を使って神さまについて話しています。ですが一生懸命熱心に聖書の教えを学んでいます。日本人にキリストの教えを伝えて奉仕しています。本当に一生懸命努力しています。」
慣れない土地での生活にはまだ不安がありますが、自分のできる限りの努力をするとき、神さまが助けてくれます。
わたしは日本の人々を愛しています。奉仕活動を通してみなさんと話すことが大好きです。そしてイエス・キリストが彼の生涯でなさったことを思い出します。人々に伝えて教えて愛を示すときのお手本になっています。キリストに倣って日本のみなさんと接する時、不思議ですが、心が安らぎ、自信が増し、みなさんとそして家族を愛する気持ちが高まります。これが姉が感じていた幸せなのだとわたしも実感しています。今のわたしにとって、イエス・キリストはとっても大切です。
日本のみなさんも家族と仲良く、そして幸せになれるように願っています。
みなさんの幸せのお手伝いができる機会に心から感謝しています。
テオさんにインタビューしている間、ディズニー映画「リロ・アンド・スティッチ」のあるシーンを思い出しました。オハナ(家族)について説明しているシーンです。リロはスイッチに「家族はいつもなにがあってもそばにいる」、と言っています。現在、テオさんは物理的にご家族から離れて日本にいますが、いつもなにがあっても彼女とご家族は強い絆で結ばれているということを感じました。そんな絆が、彼女の幸せの源なのでしょう。
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