対談⑦ Orangestar × M.B 通算1,500万回再生の音楽動画クリエイターがヒットの裏側を語る(7/10)

Orangestar: 19歳。音楽プロデューサー(ボカロP)。

両親ともクリスチャンの家庭に育つ。自身も幼い頃から家族とともに教会に通う。

高校時代をアメリカのユタ州で過ごす。そこですでに趣味として創作していたボカロ曲に熱中し次々に作品を作る。

イラストレーターのM.Bと出会い、コラボレーション作品がニコニコ動画を中心に人気を集める。

2015年にメジャーデビューを果たし,ファーストアルバムは現在までに1万7,000枚を売り上げるロングセラーとなっている。

M.B作「癒しの水」

M.B:20代のイラストレーター。両親がクリスチャンの家庭に生まれ、自身も教会に通って育つ。

イラストレーターとして独学し,作品の持ち込みから、ゲーム系のイラストレーターとして出発。兄を通してOrangestarと出逢い、同じ教会の会員で、クリエイターであることを知る。そこで意気投合し、Orangestarの書く楽曲にイラストを付けるという共同制作を開始する。


Session 7 シンプルに

M.B:この先の作品について以前よりもちょっと考える機会があるよね。作品の方向性について。

Orangestar:そうですね,現在進行形でいろいろと。

M.B:最近の結論としてはやっぱ,シンプルなこととハッピーエンド。

Orangestar:うん。僕はもともとシンプルな方が好き。

M.B:シンプルな面については深いとこついてるよね。教会の教えにもあったし……シンプルって真理,真実だなって思うくらい、世の中煩雑だからさ。奇抜なものが増えているし,評価を得るためにごちゃごちゃしたものが増えているんだよね。で,大体そういうものの内容はネガティブなものとか,今の世の中に何だろう,もうどうしようもねぇみたいな(笑)……もう最悪な世の中だっていう印象を受ける。

シンプルっていうのは俺らの方向性に合致してて,自分たちの信じているところっていうのはかなり大きいと思うんだけど。みんなもいいことはいいって感じるし,微妙なものは微妙って感じるはず。ただそれがあまりにもあふれていて、みんなだんだん麻痺しているところがあると思うんだ。俺らは,いいものはいいっていうのを,何がいいかっていうのをはっきり理解しているつもりだから。

Orangestar:あとシンプルなもののほうが聞ける,聞いている人の幅が広くなるというか。

Orangestar:最近作った『回る空うさぎ』っていう曲があるんですけど。


「回る空うさぎ」2016年11月

Orangestar:この曲は最初から最後までピアノ伴奏に歌が入るだけで、僕の中で一番シンプルかなと思うものなんですけど。

今、祖父母と一緒に住んでて,曲を作っていると,なんかあんまり,そもそも音楽とかに興味ないみたいで。一応、応援はしてくれるんですけど,「よくわからないねぇ」って。でもこの『回る空うさぎ』は,僕が音楽を流しながら動画作っていると,おばあちゃんが「それいい曲ね」って初めて言ってくれて。嬉しかったですね。

M.B:ピアノと言ったら,セカンドアルバムはピアノメインだったね。

Orangestar 2nd ALBUM SEASIDE SOLILOQUIES

Orangestar:うん。 僕自身ピアノが好きで前からピアノメインで一枚作りたかったのもあるし、ピアノの音色って、やっぱり誰が聴いても”良い”じゃないですか。

M.B:そうだね,かなり毛色を変えて振り幅の広い層の……

Orangestar:いろいろ僕らの中でも,方向は定まりつつも作品は残せてなかった時期で。でもやっぱシンプルにいこう、ってことでのセカンドアルバム。今オリコンで15位,週間26位。

M.B:方向性としてはね,スカイプとかでよく熱く語り合っていた通りなんだけど,クリスチャンとしての部分もかなり大きい。

Orangestar:クリスチャンの価値観を歌詞の中に,一般の人にもわかる言葉で(表現している)。教会で教えられたことはたぶん体に染み付いているものだろうから,意図的にというわけではないと思うんだけど。翻訳作業みたいなところはありましたね。

M.B:うん,そうだね,それはあったね。

Orangestar:作詞する上でもそう。そういうこと(クリスチャン的な価値観)を一般の人にわかる言葉で。それが1番強いのは『DAYBREAK FRONTLINE』。これは作詞,今までで一番考えながら作ったんですけど。


「DAYBREAK FRONTLINE」2016年12月

Orangestar:1番語りたい曲はこれなんです。シンプル イズ ベストにたどり着いた後のもので,ハッピーエンドと,僕らの作りたいものが一番明確に見えていて。直接的ではないんですけど,太陽とか用いて……

M.B:顕著なのはキャラクターの服装。露出をあまりしないように実はかなり気をつけてる。それは多分無意識的に,クリスチャン的にシンプルな服装,それは間違いないと思う。そこは意識してるかな,俺も。

Orangestar:結構いろんな、誰でもわかりやすいものにたとえながら作詞をしたりとか。そういう意味で一番聞いてほしいのは『DAYBREAK FRONTLINE』。これ、やっと何かひとつ目指していたものが作れた感じがします。

 

Session 8  「活動休止」につづく

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